201809/27

性欲の最終目的と位置づけた男たちの汗と涙と笑いの勃起信仰の歴史

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精力絶倫の男性。

古来から男の共通の悩みは強壮なのです。

今振り返ってみると、思わず吹き出してしまいそうなものから、先人の知恵として現代に何らかの形で残っているものもあります。民族。人種の枠を超えた、時空を超えた男たちの汗と涙と笑いの「勃起信仰」の歴史をひもといてみましょう。

あなただけが性に対して悩んでいるわけではない

おわかりになると思います。

それは古代から始まります。

文明が発祥した頃から、すでに人類はセックスを生殖としてだけではなく、性欲の最終目的と位置づけていたようです。

類似の法則なるものがありました。

「精力を強める最良の方法は外見が似ているものを食べることである」と。たとえば、男はペニスに似たサイの角を、女は女性器を連想させる牡蠣を求めたといいます。

現代でも食べ物は精力と深い関係にありますが、あくまでも食べ物に含まれる栄養素が精力のもとであつて、ただ似ているという理由だけで効能があると決めつけるところにシャーマニズム的なものを感じますね。

精力が付く食べ物、牡蠣。

食べ物でいうと、紀元前1000年頃のインドでは医術書で岩塩を性欲充進剤として推奨しています。また、ミルクで煮たラムの精巣を飲むという療法もありました。今でも、沖縄あたりでは山羊のふぐり(睾丸)が珍品とされているようです。あとフグの自子とか″オスのもの〃を食べると精がつくとされていますね。スッポンもそのうちの一つだと思いますが、

「よおし、今日は決めるぞ!」

とその気にさせる効果だけは十分にあるものと思います。ちなみに、勃起にはマグネシウム、亜鉛などの微量元素が必要とされています。食べ物から補うとすれば、牡蠣やシジミから摂取できます。ビタミンもバランスよく十分に取らなければいけません。日頃から、緑黄色野菜・果物をたっぷり取って下さい。

科学的根拠はともかくとして、古くから語り継がれているもののなかには、今でも有効と信じられているものが少なくありません。ただし、それは効能があるというわけではなく、「錫の頭も信心から」で精神面においてだけですけどね。

 

玄米: 全身の元気を養い、五臓を調和する第一級の品です。
皮膚病、便秘、血管障害、心臓病、強壮、強精、胃腸病、肥満、貧血、不妊、冷え性、制ガン
麦: 米とは正反対の季節に成長し、イライラを止めます。肉を多く食べる人々の穀類として適している食品です。
血液浄化、 肝臓病、腸のぜん動、のぼせ、怒りやイライラの鎮静、利尿、心気を養います。
ハトムギ: 肺リンパ血液の制ガン効果あり。
血液浄化作用、神経痛の緩和、消炎、解毒、暖下、排膿、利尿、解熱、イボ、肌荒れ
そば: 高血圧、便秘、血液浄化、美肌、帯下、下痢、腹痛
黒豆: 解毒、利尿、喘息、リュウマチ、むくみ、腎臓病、薬物中毒、体力強化、アレルギー体質改善、美肌、血液活性化
あずき: 腎臓病、利尿、糖尿病、むくみ、心臓病、便秘、血液浄化、催乳、産後の回復
納豆: 日本人が発明した食品での傑作中の傑作
腸内異常発酵、健脳
豆腐: 老化防止、動脈硬化、心臓病、胃腸病、糖尿病

参考:医食同源-薬草園の世界

そういう意味では、社会的地位のある人の発言も説得力あるものとして信じられてきました。哲学者による〃絶倫論″がありました。紀元前三二〇年頃、ギリシャの哲人テオフラストスは、「サティリオンという植物を服用すると七十回連続してセックスできる」と論じました。その結果、この植物は異常な人気となり、採取されすぎて絶滅してしまったということです。

その頃中国でも、伝統医学の医師たちが「丁子が精力を回復させる」と唱えています。

また、中国には一部地域に自生するエピメディウス・サギタツムと呼ばれる薬草の一種があります。″際限のないセックスをする羊″という意味の植物ですが、野生の羊がこれを食べて、旺盛な交尾をしたそうです。それでこの名前がついたようですが、何千年も経った今でもこれは精力剤として使われているといいます。

特に、中国の場合、回春術に国家をあげて取り組んでいました。というのは、一国を統治する君主たるものは健康で若々しくなければなりません。それは、子孫を殖やし盤石な政権をつくるためにもです。そこで回春となるわけです。

中国の古典に『医心方房内』という回春術について書かれたものがあります。そのなかでいわれていることは、若返りのためのセックスです。男性の一番の回春術は若い女性とのセックスだそうで、美醜にこだわらず、ひたすら若い女性と交わるべしと。

しかも、複数の女性と交わることがいいんだそうです。年端のいった女性と交わると、逆に精気を吸い取られてしまうんだとか。要するに、セックスをするとホルモンが分泌するわけですが、相手の女性が若いと分泌する量が多く、それが血液の中に送りこまれていくから肌も若々しくパワーもつくという理屈なのです。セックスだけでなく、若い女性の匂いもホルモンの分泌に深い関わりをもっています。

女性の匂い

話は大きく逸れてしまいますが、若い女性の匂いということでは、 1998年にフランスの研究チームがこんな実験をしました。若い女性に十時間以上穿かせたバンティーの股間部分を切り取ってマスクを作り、男性五十人の鼻に当てました。五時間経過した後の反応を観察したところ、三十九人が性欲を感じて勃起したといいます。

つまり、若い女性には何かしら勃起を促進させる物質があるようなのです。もっとも、自分の母親、娘など近親者のものはどうでしょう?これは実験しなくてもわかりますよね。では女房はとなると……、これは深追いするのはやめましよう。

絶倫への道

EDとの闘いは、裏を返せば精力絶倫への道といっしょです。元気のない人がED対策のためにやっていることを、元気な人がやるとさらに元気になるわけです。ですから、こういった絶倫話を人ごとと思わず聞いて下さい。

タイの「ミヤノイ」という習慣。

タイという国は非常に″お盛んな″ところのようです。あたたかい地域特有の解放感に浴れ、夜の街も、ネオンに象徴されるように熱気ムンムンで、人間も〃ギラギラ″としています。

タイの経済に大きな影響力をもっているのが華僑です

彼らの中には「ミヤノイ」という妾を何人も抱える果報者がいます。正妻も「ミヤノイ」の存在を認めており、「自分は夫の性の対象じゃなく、子孫を絶やさず、家庭経済を預かる立場」と自らをわきまえています。夫とのセックスは子作りのため、夫がセックスを楽しむのは自分ではなく、「ミヤノイ」であると。

その″果報者″には四人の「ミヤノイ」がいました。何故四人か? 四人もいると、生理が重ならないからだというのです。つまり、一日たりともセックスを欠かせないというわけなのです。また、先にも述べた、男のペニスに顔があるように女性のアソコにも四つの顔があるというのです。

「いかに、女性に恵まれているからといって、元気だょなあ」って?それには理由があります。タイに限らず、東南アジアの人たちは精力旺盛です。その各国に共通するのは雨期と乾期があることです。

雨期は熱帯モンスーン特有のジメジメとした湿気の寝苦しい日々が何ヵ月も続き、乾期になると、これまたジリジリと直射日光が大地を焦がし、一滴の雨すら降らない日々が続くのです。こういう自然環境の下では、人間の生活は不快きわまりなく、生理的にも生存能力に赤信号がともるのです。

そうなると、生命体は逆に子孫を残そうという行動に走ります。これが満たされない環境下におけるセックスの数の多さにつながるのでしょうか。

性欲という形で姿をあらわす

雨期のジメジメとした季節になると、人は精神的にイライラしてきます。あらゆる面で欲求が満たされない心理状態となり、それが性欲という形で姿をあらわしてくるのです。たとえば、痴漢が一番〃活躍する″季節は梅雨時じゃないですか?

つまり、心理的に不安定な時ほど性欲は高まるようなのです。それは皆さんも経験したことがおありでしょう。睡眠不足や疲労、ストレスがたまると性的欲求が強くなったことはありませんか。いわゆる精神的にも肉体的にも追い込まれた状態です。

東南アジアの蚊(メス)はあまり人を刺しません。それに比べて夏に飛んでいる日本の蚊は実に攻撃的で我々は生き血を吸われています。東南アジアの蚊は、常夏の気候という条件下で寿命が長い、つまり蚊にとって満たされた環境なのですが、それに比べて日本の夏に飛んでいる蚊は、寿命が短く、そのために限られた時間内に子孫継承のために、交尾。産卵を行わなければなりません。その栄養補給のためにメスの蚊が血を求めるわけです。

込み入った話ですが、タイの人たちが元気なのは、この日本の夏の蚊の例に通じるものがあるのです。自然を取り巻く環境がもたらした本能がそうさせているのです。それほどのタイ人がEDにでもなったら……。

ドリアンという独特の異臭を放つ果物を御存知でしょうか。悪魔のフルーツといわれ、タイ歴代の王様の好物といわれる高級品で、 一度食べたら病みつきになる味ですが、これの持つ強壮作用はものすごいといわれています。このドリアンとタイ産のお茶「チャダムエン」を組み合わせて食すると、眠られなくなるほどの効果があるといいます。但し、お酒といっしょに食すると死に至るといわれているので要注意です。

お盛んな国にはまだまだあります。

王様の王揉み

アユタヤ王朝以来伝わる伝統的な強精の秘技です。

アユタヤ王朝時代。

単なるタイ式マッサージとは違いますよ。一度、拝見したことがありますが、これが迫力ある。年配の、色気も何もないオバサが玉揉みの名人なのです。″国家御用達〃はオーバーかもしれませんが、ごくごく限られた知る人ぞ知る秘技ゆえに、揉み方のノウハウは門外不出。このオバサンを含めて二〜三人しか秘技を使えないという、アユタヤ王朝秘伝の強精術で、 一口でいうなら、睾丸を転がしたり揉んだりしながら、ザーメンパイプに詰まった垢を取り除くという技です。

一時間以上も揉むのですが、揉まれている人は気持ちいいどころか脂汗をたらしながら悶絶しています。終了して一〜二時間で血尿が出る。血尿に混じって垢が出るんだそうです。それからは……。機会がございましたら、一度チャレンジしてみるのもいいかもしれません。ただ、予約は常時満杯、ヤワラ(中国人街)近くのこの店の場所も公になっていないので、たどりつくまでに大変かもしれません。

タイの下半身事情

男としてはワクワクさせられますが、ここ数年、タイ男性の下半身は脅かされています。高度経済成長によるモータリゼーションや金銭問題が主な原因です。

東京で長らく生活していると、習慣からか交通渋滞は驚くほどのことはないのですが、タイ人からすれば、急速な車の増加による大渋滞によって精神的に追い込まれるだけでなく、人間関係がぎすぎすとしたものになったり、さらに金銭のトラブルが追い打ちをかける等でそれがEDと密接な関係になっているというのです。

精神的に追い込まれるストレスは、性欲を高めるのではなかったかって?人間が新しくつくり出した人為的ストレスと、生まれた時からすでにDNAに組み込まれているストレス

とは違うということです。いかにペニスにとって最高の環境が整えられているタイの人とはいえ、こうした人為的ストレスに悩まされるとあちらの方もダメになってしまうのです。本当に男性の機能とは厄介ですね。

世界の民間療法

古代ローマの博物学者プリニウスは、生姜をペースト状につぶして胃の部分とペニスと肛門に塗ると催涅効果が得られると記しました。

南米ではブラジルの熱帯雨林に自生する低い灌木の一種で、その樹皮や根に精力増強効果があると、先住民の間で珍重される植物があります。ムイラプアマと呼ばれるもので、先住民たちは樹皮や根の浸出液を飲んだり、ペニスをその液に浸して精力絶倫をめざしたといいます。

今でもありそうな、何か民間療法的な〃治療法″ですが、果たして効果があったかどうか。中世に入ってもこの手のものはまだまだ登場し続けます。

たとえば、1350年頃のヨーロッパでは乾燥したクロヤマアリをオリーブオイルに混ぜて食べると勃起力が高まるとか、ジャッカルの胆汁を性器に塗ると持続力が増す、ラクダのこぶの脂肪を溶かした油はペニスを滑らかにし、堆肥の中で腐食させたヒルを軟膏にしてペニスに塗るといきり立つといわれていました。また、砕いたルビ―や金粉、鯨の吐物を混ぜて飲むと絶倫になると……。

時空を超えるセックスへの関心

いやはや信じがたい話ばかりですが、それだけ性やセックスに関することは人々の最大関心事であり、ちょっとしたことにも敏感に反応していたということです。まさに、時空を超えていますね。

こういった例は後々にも、いろんな形でまさに雨後の筍のように出てきています。十七世紀初頭、シェイクスピアは『マクベス』のなかで、「アルコールはその気にさせるが、精力を奪ってしまう」と、表現しています。革命前のフランスでは、熱帯地方から荷揚げされたココアを何を勘違いしたのか、媚薬扱いし、パリの医師も強壮剤として処方したそうです。政治的・宗教的に邪悪な″媚薬〃だと、うさん臭そうに見られていたものが、それが今では男女の仲を取り持つバレンタインデーの贈り物・チョコレートに昇格しました。

笑い話では済まされないこともあります。十八世紀のヨーロッパでは、甲虫の一種のゲンセイをつぶした粉末が催淫剤として普及しました。この虫の体内に含まれる苛性成分が、生殖器に流れ込む血液を増加させその気にさせました。ところが、作用が激しくて死亡する人が出た。

バイアグラも、心臓の弱い人などが医者の処方なしで服用すると、命に関わることはもう御存知ですね。二十世紀に入ってからは、フロイトがEDについて学説を発表しています。

「性的本能の本性自体に潜むものが、完全な満足を実現させる妨げとなっている可能性を考慮に入れねばならない」と。要するに、EDも人間の他の弱点と同様、抑圧された葛藤から生まれる神経症的なものだというのです。

EDは何も人間に限ったものではありません

動物にもあります。ただ、動物がそれで悩んだかどうかはわかりません。馬のED治療にあたっていた獣医のひらめきで、人間に応用した実験がありました。

ヨヒンビン

西アフリカで発見された木の樹皮から抽出したヨヒンビンが馬の勃起に効くというので、それを人間にも処方してみました。「馬並み!」を期待したんでしょうか。結果はあくまでも心理的に効果がみられただけでした。所詮、人間は人間で″馬のよう″にはなれないということでしょうか。

EDの外科的治療が盛んになった時代がありました。きっかけは、第二次世界大戦でした。戦争で下半身を負傷した兵隊のペニスに、外科医のメスが入りました。勃つことを完全に絶たれてしまったペニスの根元に肋骨の軟骨を移植して、本来、人間にはない陰茎骨(つっかい棒みたいなもの)の役割をさせたんです。その″任にあたった″医者は数をこなし、外科医としてかなりの腕前になったそうです。

その後、挿入を意識した現実的なED治療が始まりました。その一つに、インプラント療法があります。ED患者のペニスにアクリル製の板を挿入します。いわゆる勃起補助ですね。ペニスの根元にはめるリングも、勃起補助の役割をしています。

人類は実に長い間、EDに様々な闘いを挑んできた

このように有史以来、人類は実に長い間、EDに様々な闘いを挑んできたというのに、これといったウルトラCがありませんでした。ついこの間も、世界に生息する五種類のサイのうち、四種類が絶滅の危機に瀕しているからと、中国はED治療薬としてサイの角を使用するのを違法としました。つまり、いまだにそういうことがまことしやかに信じられているということです。

一方、台湾と韓国でも、媚薬の効果をうたわれる虎のペニスのスープが重宝がられて、その値段たるや一碗が三百五十ドルにも跳ね上がっているそうです。要するに、いまだにそんな調子なんですね。だからこそ、バイアグラの誕生は二十世紀の最大にして最後の驚きであったと思います。

まあ、それだけEDは手ごわい相手だったということです。日本でもスッポンだ、まむしだ、ローヤルゼリーだと、今でも男たちの精力回復ヘの執念は変わりません。

精力剤やドリンク剤など、これら医薬品でないものを塗ったり、飲んだりして、それがまたひとつの商売として成り立つほど必要とされてきたのです。もちろん、こうした強壮剤はEDの治療とはとてもいえませんが、EDが心因性の部分を多く持っていることで、意外と効いてしまうことがあります。

有史以来の人類のED回復への努力

意外と多くの男たちを救ってきたのかもしれません。ホルモン剤からバキューム法まで男と女の性機能はそれほど違いません。というと、「?」と思われるかもしれませんが、性器にはあまり差がないのです。

まずお乳は大なり小なり男女ともにあります。男性も乳ガンになります。心臓、肝臓、胃袋も性別に関係なくありますし、生体肝移植などで男女間の移植が行われることからもおわかりでしょう。男性のペニスにあたるのが女性のクリトリスですが、これは男性のシンボルの残りで、その下に尿道があって腔口があります。睾丸にたいしてはふたつの卵巣がそれにあたります。タマが卵巣になっただけで、男性の袋をよくみてみると真ん中に筋がありますが、あれは本来生まれる前には分かれていたのです。

こんな話があります。男の子は母親の胎内にいる時に一生懸命裁縫をし、袋を縫いました。縫ったから男として生まれ、女の子は裁縫をしなかったから開いたまま生まれました。だから生まれてから裁縫をしているのだとか……。

縫ったか縫わないかの違いなのです。だから、男女両方の外陰部をもった半陰陽というケースもありますが、基本的にはそれほど違わないといえます。ただ、卵巣と睾丸ではそこから出すホルモンが違うので、そこで性別ができてしまうのです。

男性ホルモンはもちろん勃起力を左右する重要なものです。EDの治療にはこの男性ホルモンを使うものもあります。

テストステロンに対する研究

アメリカでは、男性ホルモン・テストステロンに対する研究が熱心に行われています。前にも書きましたが、内腿に男性ホルモンの軟膏を塗ったものを張りつける治療です。ホルモンの補給で元気になるのです。勃起力も高まるし、男性としての活カアップにもなるので、ホルモン剤の投与は有効です。

男性の場合、約95%が睾丸(精巣)の中で、残る5%が副腎で合成され、分泌されていると言われています。テストステロンの原料はコレステロールで、体内で複雑なプロセスを経てテストステロンに生合成されています。

テストステロンの分泌量は、脳からの命令でコントロールされています。血中に分泌されたテストステロンは11~90分で約半分になり、少量はエストロゲン(女性ホルモン)に換わりますが、大部分は肝臓で代謝されて、尿中に放出されます。健康な男性にも、少量ながら女性ホルモンが分泌されているのです。

成人男性が精巣で1日に分泌するテストステロンは、7mg前後と言われています。ご参考までに、弊社製品「グローミン」は、内容量10g中に100mgのテストステロンが含まれていますので、本剤1本で約14日分の分泌量が補充できることになります。参考:大東製薬工業株式会社

しかし、男性ホルモンの使用で男性機能は回復するけれども、同時に前立腺が肥大したり、前立腺ガンを進行させたりする可能性があります。ニューヨーク医科大学の泌尿器科のドクターである私の実兄との話の中で、「前立腺ガンは有病率と発病率がずいぶん違う」という報告を受けました。

たとえば、前立腺ガンが原因で亡くなったわけでもないのに、解剖してみると前立腺に小さいガンが何箇所かに見られる。つまり、有病ではあったけれども、発病はしなかったということです。もし、その人に男性ホルモンを投与していたら前立腺ガンが発病したり、前立腺が肥大したかもしれません。

男性ホルモンは諸刃の剣

アメリカではその研究を重ねているようですが、そういう意味からいつて、男性ホルモン治療は確実で安全な方法とは必ずしもいえないように思います。

また前立腺関連の患者さんがEDになるのは、その病気の治療方法として女性ホルモンを投与することに一つの大きな原因があります。この治療方法ではEDに陥る危険性だけでなく、筋力も落ちてしまいます。よく知られているところでは、プロゴルフアーの杉原輝雄氏が前立腺ガンになり、女性ホルモンの投与を行ったんですが、その結果、筋力が低下してしまい、ボールの飛距離を維持するために、筋肉トレーニングをはじめましたね。

またその他にEDの治療法として、尿道に直接薬を挿入するタイプのミューズという方法もあります。一種の座薬のようなものを尿道から吸収させます。尿道を通じてペニスの平滑筋に作用させるのですが、かなりの痛みを伴うのが欠点です。

また、ある程度の効果はあるものの作用は安定していません。バキューム法という治療法もありますが、その名の通り、ペニスを引っ張る方法です。ペニスの根元をゴムで締めつけてから、ペニスにプラスチックやガラス管をはめこんで吸引します。真空状態にして、血液を外側から引っ張りだし、それで急激に血液をペニスに充満させます。

これは理論的には掃除機でもできます。実際、それをやった人を知っていますが、陰毛から陰嚢までスッポリと吸い上げられて大変な騒ぎになったそうです。強烈なバイブレーションの刺激を与えられた彼のペニスはかえって小さくなってしまい、なんとも皮肉な結果に終わってしまいました。

吸引の効果は実際にあるのですが、これは勃っている時間が短いのです。ゴム輪で元を締めつけているので痛みも伴います。持続時間も二十分くらいではないでしょうか。勃つやいなや挿入しないと萎えてしまうので不満が残るかもしれません。

海綿体注射法の一種でカバージェクトという注射液があります。これはアメリカで今でも使われており、医師の処方箋で市販もされている薬です。その効果にはばらつきがあり安定していません。というのは、薬液が一律に調合されているために、個々人によって合う合わないがあり、満足度が違うわけです。また、痛みが強いことと注射の跡が残るという問題があり、あまりお勧めできません。

バイアグラの登場

EDの治療法はさまざまですが、効果が安定していなかったり、痛みがあったりします。そんな中でバイアグラがアメリカで登場しました。そもそもこの薬は狭心症の治療薬として臨床試験が行われていた薬でした。

バイアグラ100mg。

狭心症は心臓の冠動脈が収縮することによって起こる病気で、この薬はその冠動脈を広げ、心筋に流れる血液を増加させる効果が期待されていました。ところが、狭心症治療の効果は期待はずれに終わりました。

臨床試験では被験者が思わぬ体験を

ペニスに流れる血液量が増大し、EDに悩んでいた男性や勃起力が小さいと悩んでいた男性が、その日のセックスで見違えるような勃起力を発揮できたのです。

こうして、アメリカでED治療薬として認可がおりたのが1998年。これはひとつの性革命のように大変にもてはやされました。服用薬でありながら優れた効果があり、特に心因性のEDによく効いたからです。使いやすところで、余談ですが、バイアグラの語源を御存知ですか? 薬品名は、シルデナフィルといい、商品名がバイアグラ。精力とナイアガラの滝の二つの単語を組み合わせてできたんです。

なぜ、ナイアガラの滝かって? 想像して下さい、おびただしい量の水が次から次と激しく滝底を打ちつける。どくどくと血が流れ込み、海綿体が大きくなっていく絵に似ていませんか?この薬の有効率は患者四千人以上が参加した臨床試験で約七割でした。

ちなみにプラセボ(偽薬、たとえばメリケン粉など)での薬効が十八パーセント。約二十パーセントの人はメリケン粉でも効いてしまったわけですが、これで明らかに優位の差が証明され、認可が下りました。

アメリカで認可されるや、たちまち世界中で話題になりましたね。輸入代行業者の跛眉、ヤミ取引きから買い出しツアー等々。ラブホテル街の一角でも、「バイアグラあります。一錠一万円」という貼り紙が日につきました。まさに、バイアグラ狂騒曲といったところでした。

この薬は儲かる

と、類似の商品もいっぱい出回りました。正規の商品が菱形の青い錠剤であるのに対して、メキシコあたりでは三角形の白い錠剤=バソマックスを売り出しました。その後、その消息は聞いていませんが。実際にこの薬はとても優れています。

海綿体注射法ほど確実で安全ではないにしても、性的刺激で勃起し、射精すると萎えてしまうのも自然でいいと考えられます。まずはファーストチョイスにしてもいいかもしれません。

とにかく日本中を大騒ぎさせました。EDに悩んでいる人だけでなく、日常の話題に欠かせない社会現象にまでなったんですからね。だから、「国内で認可されたら、これは大変なことになるだろう」おそらく、製造元のファイザー製薬は大きな期待を寄せたことと思います。

ところがどうでしょう。その期待は見事に裏切られました。爆発的な売れ行きが見込まれた薬でしたが、日本での売れ行きは目下のところ、〃中折れ状態″といっていいんじゃないでしょうか。

「心臓の弱い人はだめ」「血圧の高い人もだめ」「六十五歳以上の人は二十五ミリ以上飲んではだめ」「死亡した例もある」とか言われると、もう七十歳以上の人は、「これはとても使える代物じゃない」と思ってしまいます。たとえ、使用してみようとなっても、医師の処方箋がなければ手に入れることができません。

医師のところへ行くと、自分だけの胸の内に秘めておきたい下半身の秘密を正直に話さなければならない。場合によっては、性的反応を確かめるためという理由で、見たくもないアダルトビデオを強制的に見せられるといった屈辱を強いられます。

そういうことが一通り終わって診断書を書いてもらい、やれやれと思いきや、処方箋を持って薬局へ行くと、渡されるのがせいぜい一ヵ月に四錠です。薬局は一回にまとめて百錠なんて出してはくれません。四錠分のセックスを消化すると、また〃屈辱″を覚悟で医師のところへ行かなければなりません。

これがバイアグラと付き合う正規のルートです。はっきりいって、安全かもしれませんがめんどうくさいでしょう。だから、間のルートでも高い値で五十錠、百錠と売れるんです。危険ですよね。偽物まで出回りましたからね。

おまけに、やっと手に入れたものの、頭痛がする、吐き気がするという副作用があったり、前立腺等の骨盤内手術後の患者や、性的刺激に鈍くなったお年寄りには、残念ながらほとんど効かないのです。

というわけで、

「日本人はセックス好きだから、認可されれば絶対に売れる」と思っていただろう製薬会社の思惑は外れたわけです。バイアグラ難民性の革命と謳われるこの薬ですが、すべてのED患者に使用できるわけではありませんでした。成人病を持つ人には非常に危険な薬でもあります。糖尿病、心臓病、肝臓病、高血圧症などの持病を持つ場合、基本的にバイアグラは使用できないのです。

アメリカで百三十人の死亡者が出たことを忘れてはなりません。この死亡者のほとんどが持病をもつ方でした。ですから、自分がこの薬を使えるか使えないかはきちんと専門医の診断をうけ、そのアドバイスに従う必要があります。皮肉なことには、EDに悩むのは多くは中高年者です。何らかの持病を持ち始める年代です。しかも、EDの原因がその持病からきていることも多く、バイアグラはそのたくさんの人々には応えられないのです。

また副作用についても気をつけなければなりません。もともと狭心症の薬として開発されたため、ペニスだけでなく、全身に影響を与える薬なのです。頭痛を感じたり、日が乾いたり、動悸が起きたり、急激な血圧の変化によって体の異常を感じることもよくあります。また目がチカチカするとか、顔がほてるとかお腹を壊したという例もあります。

副作用としてもっとも気をつけなければならないのは、狭心症を持病として持つ方です。

バイアグラがそもそも狭心症の薬だというなら、何が問題なのだと思われるかもしれませんが、実は違います。多くの狭心症の患者は、血管を広げるニトログリセリンを治療薬として服用しています。その時にさらに血管を広げるこの薬を服用すると、必要以上に動脈が拡張し、血圧が急降下。亡くなってしまう危険すらあるのです。

また肝臓の悪い人は排泄がうまくいかないので使用は避けたほうがいいのです。そもそも、この薬は四十パーセントが人の体に急速に吸収されるそうです。空腹時は特に吸収率がよく、排泄は八十パーセントが便からで、おおよその半減期が四時間。百鴨飲んで体の中でその薬効量が半分に減少するのに四時間かかります。

ところがこれは、四時間もの間、ペニスだけに効いているというのではなく、体全体に効いているということなのです。その間、体の全ての動脈の平滑筋に影響していると思うとあまりいい気分ではありません。

バイアグラを飲んで死亡した方のほとんどが、心臓病や心臓血管系の病気を持っていた人です。なにより危険なのはそうした病気の治療薬である硝酸薬との併用です。他には、代謝酵素阻害薬によるクリアランスの減少によって、血中濃度を変化させてしまう薬である、 エリスロマイシン(抗生物質)、シメチジン(潰瘍薬)、ケトコナゾール(皮膚用剤)、イトラヨナゾール(抗真菌薬)など。これらとの併用も深刻な副作用の危険があるので注意が必要です。特にシメチジンは市販されているH2ブロッカーの胃腸薬に含まれている成分でもあり、うっかり併用する可能性も高い。バイアグラを服用するときは、併用する他の薬の成分をよく確かめ、医師に確認することをくれぐれも忘れないようにして下さい。

まとめ

簡単に手に入り、飲むだけでOK。バイアグラは、ED患者が諦めかけていたセックスを可能にさせた夢の薬です。けれども、これで世の男性全てが救われたわけではありません。

高齢者や、病気が原因でEDになったのに、その病気のために服用できないなど、夢の薬は同時に数多くの「バイアグラ難民」を生み出しました。しかし、一度生まれた希望の灯を消すことはありません。バイアグラ難民を救う治療法はあります。

それがこれからお話する海綿体注射治療法なのです。

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